口腔保湿剤は介護の現場では欠かすことのできないもの。
口腔保湿剤とは、口の中の水分量を保ち、口腔乾燥症の症状を和らげるための製品となります。
とりあえず塗っておくものではなく、口腔乾燥を改善するために効果的な使い方のコツやタイミングなどをお答えしていきます。
Q1.口腔保湿剤を使用するタイミングは、ブラッシングの前後どちらが良いでしょうか?
口腔乾燥が著しく、口腔ケアによる裂創や擦過創などの可能性があれば、ブラッシングの前後ともに行うほうがよいです。
しかし、そのようなリスクがない場合、ブラッシング後がより効果的です。
なぜなら、歯磨きは歯垢や汚れを歯の表面から取り除く事ができますが、同時に口の中の水分も取り除いてしまうからです。
ブラッシング後に口腔保湿剤を使用することで、口腔内の水分を保持する事ができ、口が乾燥した状態を防ぐ事ができます。
ただし、口腔保湿剤によっては、使用方法やタイミングの推奨がある場合もあるので、製品の使い方はきちんと確認しましょう。
Q2.嫌がる患者さんへの塗布のコツはありますか?
嫌がる理由をよく確認しましょう。
基本的には最初に、器材を見せながら説明し、まずは顔や口唇を優しく触れながら慣らします。
ただし口腔乾燥が強い場合は、口唇や口角が切れ、痛みのためその後のケアができなくなるため、入り口(口唇)の十分な保湿を行いましょう。
また、患者さんの覚醒状態に合わせる必要があるため、介入するタイミングも重要となります。
基本的には覚醒状態の時が良いですが、あまりにも抵抗が激しいときは、傾眠時などを狙うのもいいでしょう。
ちょうど赤ちゃんの歯磨きをするタイミングと同じようなイメージです。
Q3.口腔保湿剤にプラスできる、乾燥を防ぐテクニックはありますか?
口腔乾燥を起こすような病気(副鼻腔炎、糖尿病、自己免疫疾患など)がないことや、薬剤の投与がないか、鉄やビタミンなど口腔乾燥に関連する栄養素が不足していないかの確認がまずは大切です。
これらに該当する場合は、治療や投薬、食事なども改善する必要があります。
それ以外では、まずは適宜の水分摂取を推奨します。
とくに、夜間は長時間にわたって保湿ができないため、自立している方であれば、枕元にペットボトルの水かお茶を置いて、口を潤す事をお勧めします。
また部屋を加湿する、鼻呼吸にする、煙草やアルコールは控えるなども、乾燥を防ぐ一助となります。
Q4.誤嚥リスクがある場合、口腔保湿剤を塗布する際に気をつけるべきことを教えて下さい。
誤嚥は、口腔保湿剤の粘度や量、姿勢などによって起こりやすさが変わってきます。
まずは少量から始め、飲み込めるような粘度の物を選ぶ必要があります。
基本的にはとろみがついた状態と同等の口腔保湿剤の使用が良いです。
ジェルタイプは、時間が経つと餅状になる事がある為、大量に使用しすぎないようにしましょう。