肺炎と聞くと歯科ではあまり関係ないように思われるかもしれませんが、口腔内の細菌が誤嚥性肺炎を引き起こすことが多いとされており、お口の中が清潔に保たれていないと、肺炎を発症するリスクが上がってしまいます。
肺炎を発症した高齢者の多くは、食事の時にむせこんだり、食べ物が喉につかえたりするという症状がなくとも、夜間睡眠中に唾液を不気道や肺に不顕的誤嚥していることがわかっています。
肺炎になると、栄養や免疫機能がさらに低下し、繰り返す不顕性誤嚥のために肺炎が反復、重症化することもあります。
誤嚥性肺炎とは
誤嚥性肺炎とは、食べ物や飲み物、唾液などが誤って気道に入り込み、肺に到達することによって引き起こされる肺炎のことです。
この状態は特に高齢者や嚥下機能に障害のある方に多く見られます。
原因
①嚥下障害・脳卒中・神経疾患・加齢などによる嚥下機能の低下
②口腔内の感染(むし歯や歯周病などにより、口腔内のバイ菌が増殖しやすくなります)
③飲食時の注意不足(うまく飲み込めずに誤って気道に入ってしまいます)
誤嚥性肺炎を予防するために
①口腔ケア:歯周病菌やむし歯菌が食べ物と一緒に気管に入り込むことが誤嚥性肺炎の原因の一つでもあるため、歯周病予防するためにも定期的な歯科訪問診療を通じて、口腔内の健康を維持することが重要です。
②嚥下訓練:「嚥下」とは、飲み込みのことで、口の周囲や舌、首などの筋肉を使い、食べ物や飲み物を食道まで送り込む一連の動きのことを言います。専門家による嚥下リハビリテーションを行うことで機能を回復できることもあります。
③食事の工夫:食べ物にとろみをつけたり、口やのどに張り付きやすいものは、飲み込みやすい形状に変えるなど調整しましょう。また、誤嚥しにくいように食べる姿勢を整えたり、のどの通りをよくするために食事の前に水分をとる、一口で食べる量を少なめにして、ゆっくり食べるなど「食べ方」も工夫をしましょう。
歯医者が定期的に口腔ケアを行うことで、高齢者の方に発症することの多い病気の一つである肺炎(特に誤嚥性肺炎)を予防することが出来ます。お口をきれいに保つことはとても大切です。
清潔なお口を維持して、健康な毎日を送りましょう。
寝たきりで歯医者に行けない、歯が痛い・歯がグラグラする・入れ歯が合わないなどありましたら、訪問歯科診療などもありますので、歯科医院へご相談ください。