コラム

COLUMN

歯が痛いとき

 

歯の痛みの主な原因は、むし歯や歯周病などがあります。

 

くいしばりや歯ぎしりによる歯の摩耗や損傷、親知らずの周囲の炎症(智歯周囲炎)、噛み合わせの不正、歯の破折、また三叉(さんさ)神経痛や顎骨内の悪性腫瘍など、歯そのものや歯のまわりの組織の問題など、原因はさまざまです。

また、それを放っておくと、頭痛や喉や口を開ける時の痛みなどを引き起こすこともあります。

 

 

歯の痛みのメカニズム

歯の表面にはエナメル質、その内側に象牙質、その中に歯髄があります。

エナメル質は髪の毛や爪と同様に痛みを感じません。

象牙質は象牙細管という細い管が集まっていて、その中は体の組織液が入っており、歯髄と交流しています。

この歯髄組織は神経や血管などで満たされており、歯根の先に出入口があって全身と繋がっています。

 

象牙質が刺激を受けたり、この神経が直接刺激を受けたり、歯髄に炎症が起きたりすると痛みを感じます。

また、歯根を包んでいる歯根膜という組織も痛みを感じます。歯根の周りが麻酔などで刺激を受けたり、炎症が起きたりすると歯髄と同じような痛みを感じることがあります。

 

 

歯の痛みの主な種類

歯の痛みは大きく分けて、「歯自体の痛み」と「歯のまわりの痛み」の2種類に分けられます。

歯のまわりの痛みとは、歯肉や歯根膜、骨など歯周組織に起こる歯周炎による痛みです。

ここでは「歯自体の痛み」のうち、代表的な『むし歯』『重度歯周病(歯槽膿漏)』『歯の破折』『親知らず』について紹介します。

 

 

むし歯(虫歯)

 

むし歯は、歯の表面に付着したミュータンス菌などの細菌がつくるバイオフィルムが原因となる病気です。むし歯菌は、糖分を栄養にしてバイオフィルムを作り、酸を出して歯に穴を開けます。むし歯菌の量、歯の質、飲食の回数、唾液の量や質、磨き残しなど、さまざまな原因があります。

 

むし歯が進行し、歯髄に近くなると痛みやしみる症状が強くなってきます。歯髄に感染した場合は、強い痛みが続くことがあります。さらに進行すると、歯根の周囲に炎症を起こし、全身に感染が広がります。

 

 

歯周病(歯槽膿漏)
歯周病は、歯と歯肉の間(歯周ポケット)から歯周病菌が入り込んで、炎症を起こして骨などの歯の周囲の組織を破壊してしまう病気です。原因となるのは、プラーク(歯垢)の中にいる細菌です。プラークはバイオフィルムとも呼ばれており、歯の周囲に強固に付着します。また細菌は同時に毒素も出し、歯を支えている骨を破壊するため、最後には歯が抜け落ちるという結果を引き起こします。

 

タバコ、薬の副作用や全身の病気により、抵抗力が落ちて歯周病が引き起こされることもあります。また、歯周病による炎症が続いていたり、細菌が歯肉から血液や呼吸器内に侵入したりすると、糖尿病、心筋梗塞、動脈硬化症、肺炎、早産、認知症などにも関係してきます。

 

 

歯の破折
何らかの原因で歯が折れたり欠けたり、ヒビが入ったりした場合、破折した部分が歯髄に達していると、それだけで激しく痛みます。歯の表面にヒビのような線ができていたり、その部分から歯が動いたりする場合は、歯が破折している可能性が高いでしょう。痛みがあるのに自分では状態を確認できない場合、根の部分が折れていることも考えられますが、レントゲンで調べないと分かりません。歯が折れる原因としては、外因性の衝撃のほか、歯ぎしりやくいしばりなどが挙げられます。

 

 

親知らず
「親知らず」は、正式には智歯または第三大臼歯と呼ばれる歯で、生える時期は10代後半〜20代後半と個人差があり、人によっては生涯生えないこともあります。正常に生えれば問題ないのですが、斜めに生えたり、表面に向いて生えずに水平に埋まっていたり、磨けないほど奥の方に生えたりすることがあります。それが細菌などに感染すると、周囲に炎症を起こしたり、むし歯になったりして、歯の痛みや頭痛などのさまざまなトラブルの原因となります。

 

 

歯痛(歯の痛み)の対処法
歯の痛みはできるだけ早く歯科医院で治療を受ける必要があります。
それまでの間、少しでも痛みを和らげる方法をご紹介します。
とはいえ、これは一時的な応急処置でしかなく、根本的な解決にはなりません。

 

 

• 痛いところを冷やす
冷やすことで痛みが緩和されることがあります。氷を口に含んで痛いところに当てる、冷やしたタオルや氷のうを頬に当てるなどするとよいでしょう。ただし、ひどいむし歯などで痛みが強い場合、冷やすとかえって痛みが増すことがあるので様子を見て判断しましょう。

 

• 口の中を清潔にする
細菌による感染が原因でまだ痛みが弱い場合、汚れやプラークを取り除くことが効果的です。ただし、痛みが強い場合、触れるとかえって痛みがひどくなることがあるので注意が必要です。

 

• 鎮痛薬を服用する
痛みで眠れなくなったり、食べられなくなったりすると体力が落ち、さらに症状が悪化する場合があります。夜中などの歯の痛みには、鎮痛薬で一時的に痛みを抑えるのも選択肢の一つです。痛みで眠れなくなったり、食べられなくなったりすると体力が落ち、さらに症状が悪化する場合があります。

 

 

 

まとめ

歯に痛みを感じたらすぐに歯科に行くことが大切です

 

歯の痛みを感じても、「そのうち治まるだろう」と放置する人が多いのですが、それはあまりおすすめできません。

特に虫歯や歯周病による痛みを放置すると、歯を失うリスクがあるほか、最終的に細菌が血管を通して全身に運ばれてしまうこともあります。

実際、歯のトラブルが心臓病などを引き起こす可能性も指摘されているため、「たかが歯の痛み」と油断はできないのです。

歯が痛む時は必ず何らかの原因がありますから、すぐに歯科医院に行って診てもらいましょう。