昔から「口は健康の入り口、魂の出口」と言われますが、
口は食べることだけではなく、生命や社会的生活を営むために
根本的な役割を持っています。
そして人間の尊厳とも深く関わっています。
超高齢社会を迎え、ますます歯科訪問診療が必要とされる時代となった今、
歯科訪問診療の必要性についてご紹介いたします。
歯科訪問診療とは?
歯科訪問診療についてその制度や内容をご存知でない方が多いと思いますが、
歯科訪問診療はその言葉のごとく何らかの身体的、
精神的理由で歯科診療所に通院できない方に対し、
歯科医師、歯科衛生士が自宅や介護施設、
病院等に訪問し、歯科診療や専門的口腔ケアを行う制度です。
対象になる方
先ほど述べましたように、在宅等で療養を行っており、
疾病、傷病のために通院による歯科診療が困難な方が対象になります。
なお、内科等の他科に通院している方は対象から除かれることがあります。
国も後押しをしてくれています
2013年8月に出されました社会保障制度改革国民会議の報告書の中で
1)医療の目的は、従来の「治す医療」から
よりQOLを重視した「治し・支える医療」への転換
2)在宅等住み慣れた地域の中で
患者等の生活を支える地域包括ケアシステムの構築が不可欠
という答申が出されました。
そしてこれを受けて2014年4月より
医療制度改革の中で在宅医療の推進および
医療と介護の連携が強く打ち出されました。
このように国は超高齢社会を迎えて、
国民が安心して医療や介護サービスにアクセスできるように
在宅医療を支える制度を推し進めています。
在宅歯科医療の内容
在宅歯科医療には3つあります。
1)歯科診療
2)口腔のケア
3)リハビリテーション
以上の3つの柱は、疾病の内容、疾病のステージや
時間の経過とともにその比重が変化していきます。
多くの在宅歯科医療のなかでは、3つの柱が同時に必要となります。
依頼はどのようにしたらいいですか?
色々な窓口や依頼方法がありますので、一番身近な方法でお気軽にご相談ください。
1)かかりつけの歯科医師常日頃、
受診している、かかりつけの歯科医院に
ご本人かご家族が電話等で気軽にご相談ください。
2) ケアマネージャーや訪問看護師医療や介護にかかわる
ケアマネージャーや訪問看護師等にご相談ください。
まず、診査等を行って、治療やケア等の計画が立案されます。
3)病院の担当看護師病院の看護師や
地域医療連携室のスタッフに相談することができます。
4)施設のケアマネージャー施設の
ケアマネージャーさんに相談することができます。
歯科医院が決まったら
1)現在お困りのことを可能な限り、
具体的に伝えてください。いつからどこがどんな状態なのか。
2)安心して訪問診療を受けていただくために、
わかる範囲で結構ですので、過去の病気や現在の病状、
飲んでいるお薬等をお知らせください。
3)保険証や介護保険の書類をご準備ください。
4.)かかりつけの内科の先生やケアマネージャー、
訪問看護師のお名前と連絡先を教えてください。
口から食べるということ
口から食べることは、真の栄養になり、生きる喜びにつながります。
口から食べることによって病気の回復も
早くなることが最近の研究で明らかになっています。
口から安全に食べることは人間にとって最も大事なことです。
かかりつけの歯科医院はありますか?
ご本人やご家族の方が日頃からかかりつけの診療所や
歯科医師を持つことは、介護が必要になった時、
治療やケアを安全に進めるために大きな助けになります。
通院できる時からのお付き合いを大事にされることをお勧めします。
まずは、お気軽にかかりつけの歯科医にご相談ください。