コラム

COLUMN

歯髄の痛み

 

 

 

なぜ症状が起こるのか

 

突然襲われる激しい歯の痛み。

歯が痛くなったら、もう何も考えられなくなってしまいます。

 

今回は、歯が痛い原因や虫歯の進行状況、応急処置についてお話したいと思います。

 

突然襲われる歯の痛みとして最も多いのが、

歯随の痛みと歯周組織(歯の周囲の組織)の痛みです。

 

他にも筋肉や、神経血管障害、神経原性のもの、心因性のものなどたくさんありますが、

ここではもっとも身近な痛みの原因である歯髄の虫歯についてみていきましょう。

 

 

 

歯の痛みはどこからくるのでしょう

 

まずは歯の痛みについて理解するために、歯の構造を簡単に知っておきましょう。

歯はエナメル質、象牙質、セメント質の硬い組織から出来ています。

エナメル質は普段目にしている歯の白い部分です。

 

カルシウムやリン酸などからできたハイドロキシアパタイトという

結晶でできていて非常に硬く、少しくらい傷ついても

唾液の力で元に戻ることができます(再石灰化)。

 

エナメル質には神経がないので痛みを感じることはありません。

エナメル質を支えている内側の部分が象牙質と呼ばれる組織です。

象牙質はエナメル質に比べ柔らかいために傷つきやすく、

損傷がさらに内側の歯髄にまで及ぶと、耐え難いほどの痛みを生じることになります。

 

このとき、損傷を受けた組織は炎症を起こし、痛みや熱、腫れなどの症状があらわれます。

細胞からはプロスタグランジンという物質が作られ痛みを強める一因となっています。

そしてさらに内側には歯髄。この組織は神経や血管が豊富で

歯の痛みを直接感じとっているところです。

 

生きている歯(生活歯)なのか死んでいる歯(失活歯)なのかは、

この歯髄が生きているか、死んでいるかによります。

 

最後にセメント質。この組織は歯の根っこの周りを包むように張り付いていて、

歯を歯槽骨(歯が埋まってる土台の骨)にしっかりと固定する役割をします。

 

それでは早速、どのようにして歯が痛くなり、

虫歯が進んでいくのか各段階別にみていきましょう!

 

 

 

虫歯ができて歯が痛くなるまでの流れ

 

 

虫歯とは、口の中の細菌が出す酸によって歯が溶かされた状態のことをいいます。

「熱いものや冷たいものを口にふくむと歯がしみる」

「痛みが持続する」「叩くと響くような鋭い痛み」などの症状が虫歯の特徴です。

 

口の中にはたくさんの種類の細菌が住んでいますが、

その中でもミュータンス菌と呼ばれる菌が虫歯の原因菌として知られています。

ミュータンス菌は、口の中に残った砂糖をはじめとする糖分を

栄養分として歯の表面にくっつき、そこで増殖して歯垢(プラーク)を形成します。

また、この細菌は糖分から同時に乳酸を作り出します。

 

そのためプラークの内部は酸性となり、

ゆっくりと歯の表面のエナメル質を溶かしていきます(脱灰)。

 

歯に穴が開いてしまうと、いわゆる「虫歯」の状態になります。

虫歯による痛みは、虫歯が象牙質または歯髄にまで達しないと感じません。

 

まず最初はエナメル質の虫歯です。エナメル質に虫歯ができている場合、

虫歯が象牙質まで進んでないので症状はありません。

痛みや歯肉の腫れもありません。

 

この段階で重要なことは、虫歯があるということを歯医者さんに行って知ることです。

エナメル質内の虫歯であれば、まずは歯磨きの仕方をしっかり覚え、

虫歯が進行しないようにしましょう。

 

その上で定期的に歯医者さんに行き、

その虫歯が進行しているかどうかをチェックします。

虫歯の進行が進んでいるのであれば治療が必要ですが、

進行が止まっているのであれば、引き続き経過観察を続けます。

 

虫歯は削れば削るほど再発のリスクは上がっていくので、

歯の寿命を縮めることになります。

経過を観察し、切削の必要がない場合は

歯の寿命を縮めないために様子をみるようにすることが大切です。

 

 

 

象牙質にできた虫歯

 

虫歯が象牙質まで進むと、冷たいものがしみる(冷温痛)、

歯磨きや細い棒で歯の表面を触るとしみる(擦過痛)、

酸っぱいものや甘いものでしみる(甘味痛)などの

症状が出て来る場合もあります。

この時点ではまだズキズキとした痛みではないので、

放置してしまう人が多いのです。また痛みを全く感じないことも多くあります。

 

最も一般的な治療法としては、虫歯ができているエナメル質・象牙質の

部分を取り除き、その部分に代わりとなる

材料(コンポジットレジンなど)を詰める方法です。

 

ただし、痛みがなくても、感染が歯髄にまで及んでいる場合も十分ありえます。

歯髄に感染が及んでいると、神経を抜く必要のある場合もあります。

 

 

 

歯髄にまでできた虫歯

 

そして象牙質まで進んだ虫歯をさらに放っておくと、

虫歯は次のステージである歯髄へと進行していきます。

 

歯髄にできた虫歯による痛みは激烈で、ズキズキとした自発痛

(何もしなくても痛みがある)となり、

温熱刺激、甘味刺激、機械的刺激などで、増悪します。

 

また、このズキズキとした痛みは、

何処の歯が痛いのかわかりにくいという特徴があります。

 

 

 

痛みが消えたのは虫歯が治ったからではない

 

 

痛みが一度始まると、数十分以上続くこともあり、

数時間から数日間で自然と消えるのが特徴です。

なぜ痛みが消えるのかというと、

神経が死んでしまい痛みを感じることができなくなったためです。

 

痛みが治まっただけで、状況が好転したわけではないので注意しましょう。

自発痛は歯髄の状態を判断する上で非常に大切な判断材料になります。

 

歯医者さん行った時は痛みの有無や状態・痛み方を必ず伝えるようにしましょう。

子供や若い方の場合、虫歯が歯髄まで達していても痛みがないことがあります。

必ずしも、虫歯が歯髄まで達していれば

痛みが出るとは限らないことを頭の片隅に入れておいてください。

 

 

 

虫歯が痛む場合の応急処置

 

痛み止めを飲む

2011年1月より市販薬としてロキソニンsが買えるようになりました。

まずは市販の痛み止めで痛みを抑えておき、

できるだけ早く歯医者さんに行くようにしましょう。

 

 

冷やす

冷やしたタオルなどで患部を冷やしてください。

また、冷たい水を口に含むと、一時的ではありますが楽になります。

冷えピタなどはおすすめできません。

 

冷えピタなどの商品は患部自体を冷やすわけではなく、

熱を逃がすのを助ける役割をする商品です。

この場合は冷水などで冷やした方が確実です。

 

 

 

虫歯が痛む時やってはいけないこと

 

風呂に入って温まる

お酒を飲む

運動をする

虫歯の穴を触る

 

これらの共通点は、「血行を良くする」ということです。

血行が良くなれば歯髄の内の圧力が高まり痛みが悪化します。

(圧力鍋を温める感じです)

 

ここに書いたこと以外でも、

血行が良くなるようなことはしないようにしましょう。

 

 

 

歯髄の虫歯への治療法

 

歯髄に虫歯が達している場合、細菌の感染が何処まで及んでいるかを

しっかり把握し、まずは原因となる細菌を除去します。

その上で、歯髄が元の状態にもどるのか戻らないかなどにより、

次のステップの治療方針が変わってきます。

 

基本的に自発痛(ズキズキした痛み)が発生した場合は、

ほとんどのケースで神経を取る処置が必要になってくるでしょう。

神経を取った後土台を立て、被せ物を作るという流れになります。

 

 

 

まとめ

 

虫歯の痛みは多くの場合、ズキズキした痛みがしばらく続き、

しばらくするとぱたっと痛みがなくなります。

しかし、これは虫歯が治ったわけではなく、

神経が死んだことで痛みを感じなくなったに過ぎません。

 

この状態で、歯医者さんに行かずに放置する方が多いですが、

この後さらに強い痛みに襲われることがしばしばあります。

 

歯髄の感染が顎の骨の中まで及ぶことで、

根尖性歯周炎という病気を引き起こすからです。

早期発見、早期治療がとても大事になってきます。

 

痛みやお水がしみるといった症状は体からのサインなので、

そのサインを見逃さないようにするのが大切です。

痛みが引いたとしても放置したらむし歯は進行してしまいます。 

早めに歯科受診されることをおすすめします。