
① 歯ぐきの腫れは「お口だけの問題」ではない?
朝、鏡を見たときに歯ぐきがぷくっと腫れていたり、歯磨き中に血が出たりすることはありませんか?
「少し痛いけど、そのうち治るだろう」と放っておく方も多いですが、実はその腫れ、全身の健康に関わるサインかもしれません。
歯ぐきの腫れの多くは、歯周病による炎症が原因です。歯周病は、歯と歯ぐきの間に溜まった細菌が炎症を起こし、歯を支える骨を少しずつ溶かしていく病気。進行すると、歯がぐらついたり、最終的には抜けてしまうこともあります。
さらに近年では、この歯周病が動脈硬化や心疾患などの血管の病気にも深く関係していることも分かってきました。
② なぜ歯周病が血管の病気とつながるの?
歯周病の原因となる細菌は、歯ぐきの炎症部分から血液中に入り込みます。すると、血管の内側に炎症を起こし、血管を硬くしたり、血栓を作りやすくしたりすることがあるのです。
これは、いわば「お口の炎症が全身に飛び火する」ような状態。
実際、歯周病の人はそうでない人に比べて、心筋梗塞や脳梗塞などのリスクが1.5倍から2倍に高まるという報告もあります。特に40代以降は、女性でもホルモンバランスの変化によって歯ぐきが腫れやすくなり、同時に生活習慣病のリスクも高まる年代。
「歯ぐきの腫れ」は、単なるお口のトラブルではなく、**血管の健康を映す鏡**でもあるのです。
③ 予防のポイントは「毎日のケア+定期検診」
怖い話に聞こえるかもしれませんが、歯周病はきちんと予防・管理できる病気です。
まずは毎日のセルフケア。歯ブラシだけでなく、デンタルフロスや歯間ブラシを使って、歯と歯ぐきの間の汚れまで落とすことが大切です。
さらに、もうひとつ欠かせないのが歯科医院での定期検診。
歯石の除去や、歯ぐきの状態のチェックを定期的に行うことで、炎症を早期に見つけてコントロールすることができます。
歯周病を改善することで、動脈硬化や心臓病のリスクを減らせる可能性も期待できます。
「歯ぐきの腫れくらい」と侮らず、少しでも気になる症状があれば、早めに歯科で相談しましょう。
④ さいごに
歯ぐきの腫れは、単なるお口の問題ではなく、全身の健康を知らせるサインです。
歯周病を放置すると、血管や心臓のトラブルにつながるおそれがありますが、毎日のケアと定期的な歯科受診でしっかり防ぐことができます。
「最近歯ぐきが腫れる」「血が出る」と感じたら、それは身体からの小さなSOS。
早めに歯科医院で相談し、お口と血管、両方の健康を守りましょう。



