1年に1回の歯科健診
政府が経済財政運営の指針「骨太の方針」の概要に、
国民に毎年の歯科健診を義務付ける
「国民会歯科健診」制度の検討が明記されたことがわかりました。
今までは「生涯にわたって歯科健診を強化すべき」とあり、
歯科健診の受診は推奨されていたものの、個人の自由に任されていたのもあり、
2人に1人が1年以内に歯科健診を受けていないのが現状でした。
欧米では歯科定期健診は慣習となっており、
歯科クリニックは「歯が痛くなる前に行く場所」です。
しかし、日本では「歯が痛くなってから通う場所」となっています。
外国人と日本人の歯科クリニックに通う目的の違いからも、
日本人の口腔ケアに対する意識が低いことがわかります。
歯が多く残っている高齢の人が、
歯を失った人と比べて健康な生活が送れるイメージはあると思います。
毎年の歯科健診を義務付けることで、日本人の意識が変わるかもしれません。
現在、歯科健診は1歳半と3歳、学生は高校生までが対象となっていますが、
歯の健康を守っていく目的で、
年齢を問わず1年に1回の歯科健診の受診が義務づけられます。
医療費の削減
厚生労働省によると2020年度の医療費は42.2兆円と、
前年比で若干減少しているものの、近年は過去最高額を更新し続けており、
少子高齢化がこれからも進んでいくことを考えると、
医療費の削減は必ず達成しなければならない問題です。
歯科疾患は放置することで悪化し、2021年に歯の本数が少ない人や、
かみ合わせが悪い人の全身の医療費が上昇するという研究結果も発表されました。
歯科検診を受診し、歯を失うリスクを少しでも減らし歯を残せれば、
全身的な病気のリスクも軽減できるとされており
結果的に健康寿命を伸ばせるということになります。
具体的に全身的な病気のリスクとは、
「認知症」「糖尿病」「心筋梗塞」「誤嚥性肺炎」など
日本人にとって身近な疾患がたくさん含まれています。
歯の健康維持が、医療費の削減につながるということになります。
政府は定期的な歯科健診を義務化することで、
歯周病などの疾患を早期発見し、医療費の上昇に歯止めをかけたい考えがあります。
まとめ
政府はプロジェクトチームを立ち上げ、
具体的な国民皆歯科健診の検討を進めており、2025年の導入を目指しています。
現在は、過去1年に歯科健診を受けた人の割合が52.9%にとどまっており、
40歳以上を対象とした歯周疾患検診の
受診率は5%とかなり低い水準で推移している状況です。
お口の健康が全身の健康に大きく関係し、平均寿命と健康寿命の差を縮め
医療費の減少をもたらすことにもなりますので、
いつもの健康診断とともに歯科健診を実施することで、
長期的な健康リスクの回避が期待できるでしょう。