コラム

COLUMN

噛むダイエットとは

 

 

 

よく見かける「カレーは飲み物

 

テレビで見かける太めの人が言う「カレーは飲み物」という言葉。

実はこの言葉には太る要因が隠れています。

 

皆さんも、早食いの人は食べ過ぎやすい、ということは知っていると思いますが、

飲み物のようにカレーを食べているということは、ほとんど噛んでいない表れです。

 

食事を採って血糖値が上がり、満腹中枢を刺激するまでのタイムラグがあるため、

早食いはなかなかお腹いっぱいにならず食べ過ぎてしまう、ということです。

 

さらに最近、ゆっくりよく噛んで食べる人のほうが、

エネルギーを多く消費し、太りにくいということが分かってきました。

今回はそのメカニズムについてお話しします。

 

 

 

食べるとエネルギーを消費する!?

 

私たちがエネルギーを得るには、食べ物を食べて消化・吸収しますが、

実は、食べた後にもエネルギーが消費されます。

 

この食後の消費エネルギーは安静時代謝の10〜15%を占めています。

 

安静時代謝とは、何もせずじっとしていても、生命活動を維持するために

自動的に消費されているエネルギーに加え、

座ってじっとしている時に消費されるエネルギーを合わせたものです。

 

つまり、特別な運動をしなくても、

1日に消費されるエネルギーの1割以上が、食後に消費されているのです。

 

 

 

噛めば噛むほど痩せていく!?

 

では、なぜよく噛むと太りにくくなるのでしょうか。

 

男性10人を対象にブロック状の栄養補助食品300kcalをできるだけ

早く食べたときと、ゆっくり食べたときの、

「噛む回数」と「食後の消費カロリー」を

比較する実験では、次のような結果が出ました*1

 

早く食べたときは、食べ終わるまでに要した時間:平均103秒、噛む回数137回。

ゆっくり食べたときは、時間:平均497秒、回数:702回でした。

 

同じものを食べたにも関わらず、食べるスピードによって噛む回数が大きく違ったのです。

 

また、食後90分間の「食後の消費カロリー」についても、

ゆっくり食べた方が、大幅に増えることがわかりました。

 

このことは、パスタ・ヨーグルト・オレンジジュースの普通の食事でも同様でした。

 

その理由は、「噛む回数」が増えるほど、胃や小腸に血液を送る

動脈の血流量が増加して消化活動が活発になり、

「食後の消費カロリー」も大きくなります。

要は、噛むほどに安静時代謝が高まるわけです。

 

1回の食事の後に消費されるエネルギーはさほど多くはありませんが、

食事のたびに消費されることを考えれば、決して少なくはありません。

 

たとえば体重60㎏の人が1日3回、1年間、ゆっくりよく噛んで食事をした場合、

早く食べた場合に比べて体脂肪に換算すると

1.5㎏分のエネルギーを多く消費することになります。

 

 

 

噛むとご飯が美味しくなる

 

いかがでしたか?

「よく噛んでください」といっても、

早食いの食習慣が身についている人が毎食意識しながらよく噛むのは、難しいと思います。

 

ですが、噛むと痩せると思いながら食べると、少し改善されるような気がしませんか?

 

よく噛むことによって食物に含まれる

化学物質がたくさん放出されることで、様々な味が口の中に広がります。

 

ぜひ毎日の食事をゆっくり味わって、よく噛んで、食べてみましょう。

痩せるだけではなく、食事がもっと楽しくなるほか、

意外なおいしさの発見につながるかもしれませんよ。

 

 

参考文献

*1) Hamada, Y., Miyaji, A., Hayashi, Y., Matsumoto, N., Nishiwaki, M., Hayashi, N. 2017 Objective and Subjective Eating Speeds Are Related to Body Composition and Shape in Female College Students. Journal of Nutritional Science and Vitaminology   63(3) 174 – 179